消費者はブランドに対する信頼に基づいて購買を決定している
その反面で、ブランドを信頼しているのは3人にひとり

~「2019 エデルマン・トラストバロメーター スペシャルレポート:ブランドは信頼に値するのか」日本の調査結果発表~

エデルマン・ジャパンは、世界 8 カ国、16,000 人を対象に実施した消費者意識調査「2019 エデルマン・トラストバロメーター スペシャルレポート:ブランドは信頼に値するのか」(2019 Edelman Trust Barometer Special Report: In Brands We Trust?) の日本の調査結果を発表しました。

本調査結果によると、日本の消費者の70%(8カ国平均:81%)が、「ブランドが正しい行いをしていると信じられること」が、商品を購入するかどうかの決定要因であると回答しました。ブランドに対する信頼が購買決定における極めて重要な要因であるにも関わらず、「自分が購入する/利用するブランドのほとんどを信頼している」と回答した人は38%(8カ国平均:34%)に過ぎず、たとえ自分が実際に利用しているブランドであっても、ブランドを信頼しているのは3人にひとり程度しかいないことがわかりました。

ブランドに対する信頼は、地域、年齢、所得に関わらず、消費者にとって購入を決定する際の必須事項となっており、これまで以上に重要になっています。その理由としては、消費者は「製品体験」「顧客体験」「社会に与える影響」に関して懸念を抱えているためです。日本の消費者は全体の46%(8カ国平均:62%)は、イノベーションのペースの早さや、人生を自動化するブランドへの依存度が高まっているなどの理由から製品体験に関する懸念があると考えています。また、33%(8カ国平均:55%)の人は、データベースに個人情報を保管しているブランドが増えている、ブランドが自分をターゲットにしたり追跡したりできる、といった顧客体験に関する懸念を感じています。さらに、63%(8カ国平均:69%)の人が、フェイクニュースや虚偽の情報が拡散されている、ブランドを通して自分の価値観を表現したい、といった社会に与える影響に関する懸念について回答しているのです。

■消費者からの信頼がブランドに恩恵をもたらす
他方で、「製品体験」「顧客体験」「社会に与える影響」が特定のブランドを信頼する重要な理由になるかどうかを尋ねたところ、製品体験に基づいてブランドを信頼していると答えた人が最も多く(日本:83%/8カ国平均:87%)、続いて顧客体験(日本:38%/8カ国平均:56%)であることがわかりました。社会に与える影響と回答した人は最も少なく(日本:18%/8カ国平均:38%)、ブランドが社会にとって正しい行いをしてくれる、という事への人々の期待が揺らいでいることが明らかになりました。また、「製品の売り上げを伸ばすための戦略として、重要な社会問題や政治問題を利用しているブランドがあまりに多い」と回答した日本の消費者は全体の30%でしたが、8カ国平均においては56%にも上っており、半数以上がブランドの取り組みを、口先ばかりで行動が伴わない「トラスト・ウォッシング」であると思っていることが判明しました。

ブランドが信頼を築くことができれば、消費者はそれに応えてくれます。「現在利用しているが、完全には信頼していないブランド」と「現在利用していて、長い間信頼してきたブランド」を比較したところ、日本の消費者で「率先して購入する」と回答した人は、信頼しているブランドのほうが信頼していないブランドに比べて24ポイントも高いことがわかりました。さらに、「忠実であり続ける」は35ポイント、「支持する」は31ポイント、「擁護する」は22ポイントとそれぞれ高くなっており、長期的な信頼関係がどれだけブランドに恩恵をもたらすかが明らかになりました。

また、製品体験、顧客体験、社会に与える影響の3つ全てにおいて信頼を得ることができれば、その恩恵はさらに増えることが明らかになっています。製品体験のみを信頼する人と、製品体験と顧客体験を信頼する人、そして、3項目の全てを信頼する人を比較したところ、「率先して購入する」、「忠実であり続ける」、「支持する」、「擁護する」と回答した日本人消費者の割合は、「製品体験」と「製品体験と顧客体験」で14ポイントの差が発生し、さらに「社会に与える影響」が加わると29ポイントも上昇することが明らかになりました。現時点では、人々の期待に応えることができていない「社会に与える影響」についてブランドが信頼を得ることができれば、ビジネスチャンスが大いに広がることが伺い知れます。

■ブランドが信頼を得るために必要なこと
ブランドは、広告を活用するだけでなく、さまざまなプラットフォームやコンテンツを通じて消費者とコミュニケーションを取ることで信頼を築くことができます。本調査によると、日本の消費者の55%(8カ国平均:74%)が何らかの方法で広告をブロックしていることが分かっていますが、補足的に米国、英国、中国の3カ国において実施したオンラインインフルエンサー調査によると、消費者の63%が「ブランドが広告で自社について語るよりも、インフルエンサーが言うことを信頼する」と回答しており、インフルエンサーはブランドよりも信頼されている傾向が伺えます。さらに、ブランドメッセージを繰り返し発信することと、どのチャネルを使って発信するかの順序付けも重要なことが分かっています。一度しか目にしていないブランドメッセージを強く信頼すると答えた消費者は全回答者の13%だったのに対し、6つの異なるチャネルで目にした後には87%が信頼すると答えています。また、ブランドメッセージが信頼を獲得するためのチャネルの組み合わせとして、最も効果的なのは、まずインフルエンサーや知り合いといったピアで認知を得て、オウンドメディアで拡散することで全回答者の74%もの消費者がそのメッセージを信頼することが明らかになっています。

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