みなさんは商品を購入する際に、どのような判断に基づいて、その商品を選び、購入することを決めていますか。エデルマンが実施した最新の調査によると、日本を含む世界8カ国の消費者が商品の購入を決める際に、商品を販売するブランドが正しい行いをしていると信じられるかどうかを重視していることが分かりました。

この調査は、日本を含む世界 8 カ国で、16,000 人のオンラインユーザー、8,000人のモバイルユーザー、アメリカ、イギリス、中国における1,500人のインフルエンサーを対象に、2019年4月から5月にかけて実施されました。この調査結果の内容について解説するイベント「2019 エデルマン・トラストバロメーター スペシャルレポート:ブランドは信頼に値するのか」を開催したので、いくつかハイライトをご紹介します。

まず、エデルマン、アジア太平洋地域CGO(チーフ・グロース・オフィサー) のミッシェル・ハットンより、調査結果についてのプレゼンテーションがありました。その中で冒頭でお伝えしたように、ブランドが正しい行いをしていると信じられるかどうかが重要な購買の決定要因であると回答した割合が81%であったこと(日本の回答者で70%)、その一方で自分が購入する、もしくは利用するブランドを信頼していると回答した割合が34%であったこと(日本の回答者で38%)について紹介がありました。

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つまり、ブランドが消費者からの信頼を得ることができれば、消費者が率先して商品を購入してくれることを示唆しています。

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では、企業はどうすれば消費者から信頼を得ることができるのでしょうか。調査ではブランドが提供する「製品体験」、「顧客体験」、「社会に与える影響」の全てにおいて信頼できれば、「率先して購入する/忠実であり続ける/支持する/擁護する」と回答した消費者の割合が68%(日本では64%)だったことが分かりました。これは、「製品体験」の観点のみで信頼する消費者の割合より21ポイント高い(日本では29ポイント高い)ことを示しています。

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しかし、現状では消費者がブランドを信頼して商品を購入している割合が低いとの結果がでているように、ブランドが消費者から信頼を得る取り組みがまだ十分でありません。例えば、社会に影響を与える問題に関する企業の取り組みについては、行動を伴わずに口先だけで重要な社会問題をマーケティングの手段として利用しているブランドがあまりに多いと感じる消費者が56%(日本では30%)いました。

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イベント後半のパネルディスカッションでは、前半のプレゼンテーションを踏まえて、ブランドが社会問題にどのように取り組めば人々の信頼を得ることができるのかを大きなテーマにして意見が交わされました。このパネルディスカッションは、エデルマン・ジャパン株式会社、ブランドディレクターの森田尚子がモデレータを務め、パネリストとして、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社、ホーム&パーソナルケア、マーケティング ダイレクターの中川晋太郎氏、Forbes JAPAN、Web編集部編集長の林亜季氏、プラヤベース代表/戦略プランナーの矢部和史氏をお迎えして行われました。

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まず、ユニリーバの中川氏から、自社でどのように社会的パーパスの取り組みを行っているのかについてお話がありました。まず口八丁手八丁ではなくて、行動をおこしたうえで伝えていくことの重要さを強調されていました。ネット上で調べれば、企業がどれだけ本気になって取り組んでいるのかすぐに見透かされる時代です。リーチが限られた社会問題に対する取り組みであっても、自分たちが信じることに取り組んでいる、たとえ炎上したとしてもすぐに取り下げないと言われていました。また、社会をよくしていきたいが、営利企業なので、最終的に儲かるためにパーパスブランディングをやっていること、それをみた同業者が真似することで、それがポジティブサイクルになって、世の中をよくしていく流れができることを目指していると述べられていました。

Forbes JAPANの林氏は、米国では特定の企業にフォーカスしたメッセージを伝えたり、特定の企業の行動を称賛するような記事が昔から掲載されていたが、日本では、やっとここ最近になって、特定の企業のメッセージや経済ジャーナリズムが掲載されるようになったことについて紹介していました。日本のマスメディアも消費者と同じ目線にたって企業が抱えているメッセージをニュースにし始めているということは、読者や視聴者である消費者が企業のブランディングに関心を持ち始めている裏付けではないかと言われていました。例えば、Forbes Japanの読者はサステナビリティや社会問題に興味をもっている方が多く、企業がどうして存在しているのか、どういう思いで商品をだしているのかなどに興味を持ちはじめていると言われていました。

プラヤベースの矢部氏からは、B2B企業の購買プロセスはB2C企業と違うため、B2B企業の購買決定者から信頼を得ることが最も大事であること、そのためには国内の身近な事例が重要であることについて話がありました。B2B企業の社会問題の取り組みに関しては、他の同じようなサービスを展開する企業とコンペになったときに、最後の一押しをしてくれるものとして重要なのではと語られていました。

エデルマン・ジャパン シニア・アカウント・マネージャー 中田清光