「2025エデルマン・トラスト・バロメーター」の調査によると、経済的不安が社会的な不満と憤りを招いていることが明らかになりました。日本では回答者の65%が中程度から高度の不満と憤りを抱えており、世界平均の61%を上回る結果となりました。この根底には、政府や企業が一部の利益のために行動し富裕層は恩恵を受ける一方で、一般市民が苦境に立たされているという認識があります。しかしながら世界の動きに呼応して日本でも社会的な不満と憤りが存在する中、企業と雇用主への信頼は、その他機関に比べると依然として高い状況です。本調査結果は、日本企業、特に「ジャパン・ブランド」と雇用主が、真の変革を主導すべきという喫緊の使命を浮き彫りにしています。 

つのる不満が行動を引き起こしています。日本では若年層(18歳~34歳)の5人に2人以上が、変革のためなら攻撃的な行動も是認すると回答しました。具体的には、オンライン上の個人攻撃(18%)、意図的な虚偽情報の共有(22%)、暴力の行使(18%)、財産の破壊(20%)などの活動を容認しました。このように、不満と憤りの増大により、信頼に揺らぎが生じています。日本では、高い不満と憤りを抱える層ほどAIなどの技術革新や組織機関への信頼度が低いことが示されました。その他先進国と同様に、日本の一般層におけるAI活用の意欲も低下しており、前回に比べ7ポイント減少に転じました。さらに日本は、組織機関への包括的な信頼を示す国別ランキングで28カ国中の最下位を記録し、最下位から2番目となった前回をさらに下回る結果となりました。また世界第4位の経済大国であるにも関わらず、次世代の状況が現在よりも良くなるという期待値において最下位から2番目(ドイツ、オランダと同順位)となるとともに、次世代の状況が上向くと回答したのは、全体の14%に留まりました。

日本社会では、4つの主な組織機関(政府・メディア・NGO・企業)がいずれも信頼を得られておらず、うち政府・メディア・NGOへの平均的な信頼度は、その他調査対象国との比較においても最低レベルとなりました。日本における企業への信頼は48%であり、世界平均の62%を下回るものの、その他機関への信頼度と比べると国内では最も高い状況です。また、「自分の雇用主」は、日本の組織で働く従業員の中で唯一信頼されている組織機関と位置付けられました。日本では、「自分の雇用主」に対する信頼度は前回から4ポイント上昇して64%に達し、企業の能力に対する認識は2020年度から14ポイント低下した一方で、企業の倫理に対する認識は同期間に11ポイント増加しました。また、海外においてジャパン・ブランドへの信頼は高く、企業の確かな資産となっています。実際に、日本に本社を置く企業に対する世界の信頼度は、前回から4ポイント増加しました。日本は、カナダと並んで海外国のブランドとして信頼度が最も高い国であり、3位のドイツを上回っています。

技術革新や経済の影響による雇用不安や社会的な不満と憤りが高まる中、人々は企業に対して、社会的変革の実現と、より良い未来を切り開く役割を期待しています。不満と憤りの高まりにより、企業のCEOなどリーダー層の行動が求められています。実際に、強い不満と憤りを抱く人々は、企業が社会的課題に十分に取り組んでいないと考える傾向が強く、気候変動への対応、誤情報、差別、従業員への再教育といった課題に関してさらなる行動を求めています。最後に、共感を求める強い声もあります。全ての回答者グループにおいて、社会のニーズや欲求を理解することで、組織機関が真の影響力を持つとの考えが示されました。日本においては、企業のリーダー層がコミュニティの抱えるニーズを理解し、共感を持ってそれに応えることが極めて重要です。

エデルマンのCEOであるRichard Edelman(リチャード・エデルマン)は、次のように述べています。「企業には、不満と憤りの根本的な解決に向けて、主導的な役割を果たす責任があります。地政学的な変化とイノベーションが急速に進む中で、世界では極めて先行き不透明な状況が続いています。日本では長年にわたり、福島をはじめとする東日本大震災の災害や、長期的な賃金水準の停滞、人口構成上の課題の影響を受け、信頼レベルが低迷しています。調査結果では、賃金の公正化、AI革命に応じたリスキリング、市民間の対話の促進、そして共感に基づく行動を通じて、不満と憤りに対処することが、信頼回復につながることが示されています。」

「2025 エデルマン・トラスト・バロメーター」のその他の主な調査結果は以下の通りです。

  • 「リーダー達は私達に嘘をついているのではないか」という懸念:政府のリーダー(50%)、企業のリーダー(49%)、ジャーナリストやレポーター(64%)が嘘や誇張を用いて意図的に人々を欺いているのではないかという懸念が、過去最高に達しました。

  • 組織の能力と倫理性に対する認識の低さ:どの組織も能力と倫理性の両面で高い評価を得ているわけではないものの、企業は両方の評価指標で他組織よりも高い評価を得ています。また、強い不満と憤りを抱える人々は、不満と憤りの弱い人々と比較して、企業の能力(43ポイント差)や倫理性(69ポイント差)を大幅に低く評価しています。

  • 企業への期待:人々は、企業には充分な給与と雇用を生む責任や、従業員の将来を見据えたトレーニングやスキルアップを実施し、職場での礼節ある議論の促進を行う責任があると考えています。

  • CEOの行動に対する要求:全ての回答者グループが、不満と憤りの度合いに関わらず、CEOが変革をもたらし業績を高めることができるのであれば、行動を起こすことを許されるべきだと考えています。

 

詳細は下記をご覧ください。
https://www.edelman.jp/trust/2025/trust-barometer 

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