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メディアへの信頼性を取り戻すために企業がやるべきこと

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エデルマン・ジャパンでは、世界28カ国、3万3,000人以上を対象に実施した、政府、企業、メディア、NGOの各組織に対する「信頼度」の調査結果を解説するセミナーを開催しました。この調査は今回で18回目を迎えます。セミナーでの講演内容については、当日パネリストとして参加したジャーナリストの藤代裕之さんが記事を書いてくださったので、ここでは講演後に行われたパネルディスカッションの内容をご紹介します。

パネルディスカッションには、講談社の瀬尾傑さん、ジャーナリストの藤代裕之さん、スマートニュースの松浦茂樹さんが参加されました。パネルディスカッションでの大きな議題のひとつが、「メディアに対する不信」でした。世界中でメディアに対する不信が広がっていて、今回の調査で、28か国中22か国でメディアが信頼されていないとの結果がでました。一言でメディアと言っても、メディアをどのように認識しているのかということも考慮する必要がありますが、世界中でメディアに対する信頼性が下がっているのがトレンドのようです。

メディアへの不信は調査対象国で蔓延しているこうした状況に対して、講談社の瀬尾さんは、「メディアは信頼性を取り戻すことに真摯に取り組まなくてはいけない」と述べつつ、例として講談社が展開している現代ビジネスでの取り組みを紹介してくれました。現代ビジネスでは、情報の鮮度にこだわってニュースを追うのではなく、ひと呼吸おいてからニュースを深堀するようにしていると述べていました。具体的には、信頼できる専門家を見つけて、専門家に記事を書いてもらっているとのことです。今回のトラストバロメーター調査結果でも、「学者/専門家」を始めとする権威に対する信頼が高まっていることが示唆されています。いろんな情報が発信されている中で、それを誰がいっているのか、専門的な知識をもっている人なのかということの重要さが再認識されているようです。

権威に対する信頼が回復

もうひとつ議題となったのが、メディアに対する人々のリテラシーをいかにして高めていくのかという点です。今回のトラストバロメーター調査では、人々が「メディア全般」という言葉をどのように定義しているかを調べました。それによると、「メディア全般」とは、当然のことながらジャーナリストと認識している人が一番多いですが、それだけでなく企業自身が発信する情報や、インフルエンサー、ソーシャルメディア、ニュースアプリ、検索なども含まれると言えます。「それもメディアに含まれるの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、良くも悪くもそれらのメディアを通じて人々は影響を受けている時代です。フェイクニュースが広まりやすくなってしまっている背景にはこうしたメディア環境があります。

人々にとって「メディア」はコンテンツとプラットフォームの両方を意味する

こうした状況の中において、情報を発信するパブリッシャーや、それらの情報を載せるプラットフォーム側は、正しい情報を発信して人々にその情報を届ける責任があります。一般的に、企業の広報活動などにおけるKPIとして、いかに発信する情報が多く見られたのかというインプレッションが重視されがちですが、スマートニュースの松浦さんは、「注目と信頼をはき違えないようにしないといけない」と言われていました。例えば、記事のタイトルを人々の関心をひく「釣りタイトル」にして多くの「注目」を集めたとしても、その記事の内容が適切でなければ人々の「信頼」をなくし、かえってブランドを毀損してしまうことにつながると述べていました。

企業は広告を掲載する場所についてもブランド毀損につながらないように気をつける必要があります。講談社の瀬尾さんは、「差別的な動画やヘイトコンテンツが掲載されている場所に自社のコンテンツが表示されることでブランドが傷ついてしまうことに企業が気づき始めている。こうした意識の高まりがヘイトを排除するメカニズムになってくれればいい」と述べていました。

また、ジャーナリストの藤代さんは、最近の企業のプロモーションが様々なメディアを使って全方位的に行われていることに懸念を示し、「メディア的な常識がないところも多い。信頼できるメディアを企業がいかにして使っていくかが課題」と、最近の企業の行き過ぎたプロモーション手法に疑問を投げかけていました。

企業が自社で展開するオウンドメディアも含めて、あらゆるメディアで発信する情報に客観性があるのか、ファクトチェックをしたのか、ブランドを毀損するリスクがないのかということを厳しく精査しつつ、企業やメディアがお互いに協力して、みんなでメディア的なリテラシーを高めることで、メディアへの信頼を取り戻す取り組みをしていくことの重要さを認識しました。

エデルマン・ジャパン シニア・アカウント・マネージャー 中田清光

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