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信じたいものを信じる時代における情報提供について考える

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エデルマン・ジャパンでは、世界28カ国、33,000人を対象に実施した、政府、企業、NGO、メディアに対する信頼度調査「2017エデルマン・トラストバロメーター」の日本における調査結果を発表しました。それによると、グローバルの調査結果と同様に日本においても、政府、企業、NGO、メディアに対する信頼度が下がっていることが判明しました。

知識層と一般層に分けて信頼度をみると、日本の知識層における政府、企業、NGO、メディアに対する信頼度は昨年より上昇していますが、一般層における信頼度は昨年より下がり、知識層と一般層との間の信頼度の格差が調査史上初めて大きくなりました。このような知識層と一般層の間の信頼度の格差は、昨年からグローバルでも見られる傾向であり、特に米国や英国では一般層における信頼度の下落が大きな格差をもたらしているようです。

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日本の調査結果の発表にあたって行われたセミナーで、北海道大学 法学研究科 教授 吉田 徹 氏は、民主主義において人々の「信頼」こそが重要なインフラであり、この人々の「信頼」が揺らぐことで、民主主義における社会システムや制度なども揺らいでしまうことになると述べていました。イギリスのEU離脱やトランプ大統領誕生も、政府に対する人々の「信頼」の下落によってもたらされたものだと推測されます。また、こうした社会システムや組織に対する「信頼」の下落にともない、人々は将来に対して不安や恐れを抱くようになり、自分の不安な心を代弁してくれる人や自分が信じることができる考え方を求めるようになってきています。

それを助長しているのが、エコーチャンバーという現象です。エコーチャンバーとは「共鳴室」という意味で、自分と同じ意見を持った集団の中に身を置くことにより、自分と意見があう情報だけをフィルタリングするようになり、偏った考えが助長されてしまうことを意味します。

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今、フェイクニュースが世間を騒がせていますが、このフェイクニュースが広まる背景には、まさにこのエコーチャンバー現象が影響していると思われます。社会システムや組織に対する不信により、真実よりも自分の不安や恐怖心を取り除いてくれる情報を見たい、自分が信じるものを信じたいという人たちが増加しているからです。NHKのクローズアップ現代のフェイクニュース特集でもこのような現象が起きていることを紹介していました。

グローバルの調査結果では、2人のうち1人が「事実はさほど重要ではない」と回答し、53%の回答者が自分と意見が合わない人々や組織のことを聞かない、52%が重要な社会的問題に関する自分の見解を変えないもしくはめったに変えないとの結果がでています。

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日本国内の調査結果では、5人のうち2人が「事実はさほど重要ではない」と回答し、65%の回答者が自分と意見が合わない人々や組織のことを聞かない、64%が重要な社会的問題に関する自分の見解を変えないもしくはめったに変えないとの結果がでており、グローバルよりも人々の意見や考え方が偏りがちであることを示唆しています。

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このエコーチャンバー現象が加速化しているのは、スマートフォンやインターネットのみで情報を得る人が増えていることが理由として考えられます。スマホではソーシャルメディアやニュースアプリ、検索エンジンなどを使って、自分が興味を持っている情報や自分が見たい情報だけが入るようになっていて、自分が信じていない見解や関心のない情報を遮断する傾向にあります。このままの傾向が続くと、情報の分断がより大きくなり、偏った考え方を持つ人々が増えてしまうことが予想されます。つまり、多様性や自分とは違う人の視点などを考慮しにくくなってしまうのだと思います。

先日、ある記事がネットで話題になっていました。シリコンバレーで有名なスタートアップインキュベーター「Yコンビネーター」を経営しているサム・アルトマンが、全米をまわって自分とは考え方の違うトランプ大統領支持者100人をインタビューして、彼らがどのような考え方や理由でトランプ大統領を支持したのか理解を試みた記事です。自分のエコーチャンバーの中にいたのでは分からない考え方や他者の視点をこのような形で理解しようとすることが今後より重要になっていくと思います。アルゴリズムによる情報フィルタリングだけに頼るのではなく、新しい考え方や自分とは違った見解をもつ人を積極的に探すことが大切だと思います。

企業や組織にとって必要なことは、あたりまえかもしれませんが、人々が求めるものや困っていることをよく聞き、それに応えるための解決策や共感を適切なチャンネルで伝えることです。人々は自らの情報源から信頼できる情報や、自分が信じたい情報を探しているため、彼らが見ているチャンネルで情報を提供しなければ何も変化を起こすことができません。ある人にとっての情報源は、トラディショナルメディアであっても、ある人にとってはオンラインメディアやソーシャルメディアだけであったり、あるインフルエンサーや特定のエンジニアの方のブログであったり、人それぞれです。そうしたあらゆる情報源を考慮した情報提供によって人々から「信頼」を得る企業や組織が生き残っていく時代なのだと思います。

エデルマン・ジャパン シニア・アカウント・マネージャー 中田清光

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